『浮雲心霊奇譚 赤眼の理』神永学
今日からは神永学先生の作品より『浮雲心霊奇譚』シリーズです。
八雲のルーツを描いた作品で、作中の舞台は幕末、時代劇寄りの物語です。
僕は歴史は好きですが、歴史モチーフの物語は読んだことがほとんど無く、しかも幕末は日本史の中で1番苦手な時代です。
近代故に残されている史料も多いので、必然的に多くの事柄を学ばなければいけないので、頭が混乱します。どのくらい混乱するか、というと途中で尊皇攘夷派が誰なのかわからなくなるくらいです。
まぁ、僕の幕末苦手はさておき本編のお話に戻りましょう。
この物語は、主人公・浮雲と八十八という青年を中心として進行していきます。
作中で八十八が浮雲に対して「これほどまでに美しい瞳を見たことがありません」と言うシーンがあるのですが、八雲ファンなら思わず「あぁ〜!」と声を上げて、口元を緩ませてしまいそうな展開で、なんかもう、好きです。
感想文書いているくせに、語彙力が著しく低下してしまいます、俗に言う尊い、ってやつですよ。
この一言だけで、この作品を最後まで読みたい、って気持ちになりましたからね……。
そして2話目では、武家出身の女の子・伊織ちゃんが登場します。
この子がまぁ、可愛らしくて可愛らしくて、それなのに実は今作のナイト枠なんです。
可愛いのに勇ましく木刀を振るう姿……こういうのに弱いのでほんとにやめて頂きたい……とても好きです……。
根がオタクなので、こういう大好きな展開になった時に語彙力の低下が著しいのはお許しください、心からこの作品と出会えて良かったと思っています。
そして、この物語にも、浮雲の前に立ちはだかる強大な敵が登場します、その名は狩野遊山。
かつて狩野派にいたこともあり、狩野と名乗っていますが、果たしてその正体は何者なのでしょう……。
狩野派、といえば実在の幕府御用達の絵師集団で、室町時代から江戸末期にかけて活躍しています。
有名な作品だと狩野永徳の『洛中洛外図屏風』や『唐獅子図屏風』があります、確か二条城の襖絵も狩野派の絵師によるものだったような気がします。
知ってる名前が登場すると、ちょっと楽しくなっちゃいますよね。特に歴史系統だと尚更。
幕末の推理系のものだと、現代の技術のトリック的なのは使えないからどうなるんだろう……と思っていましたが、なるほど、寧ろ仕掛けが下手に凝ってないので寧ろ見やすかったです。
というより灰原薬先生作『応天の門』で、平安を舞台にしたサスペンスもの(こちらは心霊や妖といった類のものは全くないです)が成立しているので、問題はなかったですね。
というか、最近手を出している作品は、こういう少し歴史が混ざっている系が増えてきています、他にもなにか面白い作品があるといいのですが。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
また明日お会いしましょう。