怜士の本棚

不定期に読んだ本の記録や、感想を載せていきます。ファンタジーやミステリー系が多いです。たまに、日記のようなものを書きます。

『怪盗探偵山猫 虚像のウロボロス』神永学

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今日は山猫シリーズ第二巻、『虚像のウロボロス』です。

ウロボロス』とは、自分の尾を噛んでいる蛇もしくは竜を図案化したものですが、意味としては「死と再生」「不老不死」「始まりと終わりのない完全なもの」というものがあります。

さて、この物語の『ウロボロス』とは一体何者なのでしょうか……?

 

突如として現れた、"悪人"に天誅を下す『ウロボロス』と名乗る謎の集団。

雑誌記者・勝村英男は、『魔王』と名乗る謎のハッカーから『ウロボロス』についての情報を知っているとのタレコミを貰い、現場に向かった。

なんとその現場には女性が倒れており、謎の男たちに襲われた勝村は気を失い、目が覚めると被疑者として拘束されてしまっていた。

途方に暮れる勝村だったが、その窮地から救い出したのは、怪盗・山猫だった!

果たして『ウロボロス』の正体とは、そして彼らの企みとは……。

 

大抵こういう探偵ものって、第一話で主人公が事件に巻き込まれて、探偵に出会って徐々にシリーズ化していく、というのが黄金パターンなので、イレギュラーな『怪盗探偵山猫』で次はどのように山猫が勝村の前に姿を現すのだろうか、と思っていたのですが、拘束場所からのハリウッド映画さながらの救出劇に度肝を抜かれました。

そして、このお話から新キャラクター・犬井刑事が登場します。性格で言えば単独で突っ込んでいくところが『心霊探偵八雲』の後藤刑事に似ているのですが、犬井刑事は基本的一匹狼です。己の見聞きしたことしか信じない、そんな男です。

『怪盗探偵山猫』では、物語の語り手が追われる側(勝村、この作品だと『魔王』)と追う側(霧島さくら、犬井刑事)で繰り広げられるので、両方の視点でどうやって事件が解決していくのだろうかと、かなり変わった楽しみ方ができる作品です。

 

このシリーズ一貫して山猫は「お前のやっていることは犯罪だ。やってしまった以上悔やんだって仕方がない、その責任をとれ」と言っています。

綺麗事言ったって所詮は犯罪者でしょ?って感じですが、実はこれ、結構的をえています。

犯罪でなくとも、やったことで得られた結果から目を逸らすのは卑怯者のやる事、やった以上は最後まで責任をもってやり遂げなければいけない。落とし前をつける、ってところでしょうか。

やっていることは犯罪ですが、山猫のこの一貫した考え方はすごく好きなんですよね。

 

ここまで話したところでちょっとだけ余談。

ウロボロス』と言われると、僕が最初に思い浮かべるのは2015年に放映されていたテレビドラマ『ウロボロス〜この愛こそ、正義。』です。

幼い頃に巻き込まれた事件の真相を探るべく、警察になった主人公と、裏の世界・暴力団で真相を追うもう一人の主人公がタッグを組んでいる、というドラマなのですが、今思い返してみれば、『怪盗探偵山猫』を好きになったのってこのドラマの影響ですね……。

このドラマもまた見たいなぁ、と思っているので『怪盗山猫』のDVDを買った後にでも探してみようかな。

 

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

また明日お会いしましょう。