怜士の本棚

不定期に読んだ本の記録や、感想を載せていきます。ファンタジーやミステリー系が多いです。たまに、日記のようなものを書きます。

『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』相沢沙呼 読了

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やられました、作者の掌の上で思いっきり踊らされました。

色んな書店で凄く推されているので、そんなに面白いのかなぁと思ってましたが完全にやられました。

 

この感想を書いているのは、読了してから一夜明けてからなのですが、読み終わったあとの脱力感が凄かったです。

正確には読み終わったあと、というより最終章に差し掛かった辺りからでしょうか。

この本の一番の魅力というのがネタバレなしには語れないので、最後の方にネタバレを含んだ感想を書いておきます。

ただひとつ言えることは、表紙を見て買った読者は、その時点で作者のトリックの中です。

 

先日までの僕の記事を見て頂けたらわかると思うのですが、僕は『心霊探偵八雲』を読んでいました。

正直言ってしまえば、こういった類のミステリーというのは、現代的、というか硬派な推理小説ではないと考えています。

最初の方を読んでいるうちは、この本も恐らくそういった類に入るのだろうなと思っていました。

しかし、その考えは甘かった。最後にとんでもない出来事が待っていました。

出来ることなら記憶を消してもう一回読みたい…!いや、真実を知っているからこそもう一度読むべきなのか?

ミステリーは1度読み終わった後に、自分で確認しながらもう一度読むっていう楽しみがあるからいいですよね。

 

さて、ここから下はネタバレを含む感想です。

数行空けた後に書いていきますので、読みたくないって方はブラウザバックでお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

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帯で衝撃展開!作者の掌の上だった!と書かれていましたので、最終章の前で一旦休憩を挟んで、どうなるのだろうと思考を凝らしましたが、主要人物が犯人という展開には驚かされました。

恐らく気づく人は気づくのでしょうが、僕は作者に騙されましたね。

それを踏まえて今までの話を思い出してみると、確かに不自然な点はいくつか見受けられます。

一番あれ?って思ったのは三話目の『スカーフ』のくだりです。

2人目の遺体が見つかって、着衣に乱れがあった、とはありましたが、セーラー服を脱がすだけならスカーフは外す必要はないのです。

殺害に使われたものはスカーフだと言われていましたが、使われたスカーフは被害者のものではなく、犯人の私物、だとしたらスカーフが外されているのはとても不自然です。

まぁ、でも読み終わって言ってしまったらただの後出し孔明です。正直読んでた時は一瞬気に留めただけで読み進めてしまいましたので、気づかなかったも同然です。

 

そういえば似たような小説で『ジキル博士とハイド氏』がありますよね。

あれは表と裏の人格ですし、作者による叙述トリック的なのはなかったはず(最後に読んだのが2年くらい前なので詳細には覚えてないです、すみません)ですが、何となく似ているな、と感じました。

主人公が多重人格という訳では無いのですが、名前を使い分けているため、そんなイメージが湧いてきました。

 

そして終章、あえて今まで第三者であった千和崎さんが語り手として出てくるのがいいですね。

城崎翡翠が語る訳では無い後日談、真実は彼女のみ知る、中々想像を掻き立ててくれるものでした。

彼女は正体を顕にしましたが、結局のところの彼女の芯の部分は誰も知ることが出来ない、それが城崎翡翠という女性の魅力を更に掻き立てています。

 

というより、先日の記事を見ていただいたらわかるのですが、僕は直前まで『心霊探偵八雲

を読んでいました。

それ故に、同じ『心霊』というテーマが出てくるために、余計に信じ込んでしまう要因となってしまいました。

直前に読む本は考えて読んだ方がいいですね…。まあ、反省はしていません。

 

 

さて、珍しく堂々とネタバレをしながら語ってしまいましたが、前述の通りこの物語の真の魅力はネタバレなしには語れませんし、語りたいが故に多くの人々に目を通して欲しい作品です。

最近はちょっと生ぬるい感じのミステリーでぬくぬくとしていたので、いつも以上に衝撃がありましたね。帯に偽りはなかったです。

この後読む本は積読を潰しつつ、本屋大賞ノミネート作品で気になっているものを読んでいくつもりですが、あらかた片付いたらまたこういう本にも新たに手を出したいですね。

似ているかどうかはわかりませんが、今は『屍人荘の殺人』が気になっています。

 

今日も最後まで読んで頂きありがとうございます。

明日はあまりの衝撃さに順番を入れ替えてしまった作品です。

この作品の衝撃が凄すぎてちょっとぼんやりしているかも知れません。

ではまた明日お会いしましょう。