『怪盗探偵山猫 深紅の虎』神永学
とうとう山猫シリーズ最終巻『深紅の虎』です。
最終巻って言われると、凄く寂しい気持ちになって読み進める手が遅くなって、読み終えたあとも喪失感に襲われるのですが、この本だけは珍しくそんな事はなかったです。
それと、この表紙の山猫、凄くかっこいいですね!1番お気に入りの表紙です。
山猫のバーに出入りする勝村は、山猫の指示によりとある中堅企業に侵入することとなった。
山猫もしっかりと大金を頂いてきたのだが、残してきたはずの犯行声明が消されていた。
そして、山猫との共犯を疑われた勝村は、謎の人物達によって連れ去られ、その事実を知った霧島さくらはショックを受ける。
監禁されてしまった勝村を救出しに現れた山猫は、銃弾に倒れ、現場には爆弾が仕掛けられていたー。
山猫の過去を知るという人物から語られる、山猫の正体とは……。
いよいよ最終巻、山猫の過去について言及されるわけですが、少しだけネタバレを含むだけで、核心の部分だけは内緒です。
どういう結末を迎えるのか、是非とも自分の目で確かめてみてください。
さて、少しだけ内容に関するネタバレを含む話をしますので、それが嫌だって方は読み飛ばしていただけると幸いです。
作中で脈を確認するシーンがあるのですが、この確認というのが『死亡確認』なので、脈は止まっていなければなりません。
しかし、誤魔化さなければいけない状況なので、脈を止めてしまわないといけないわけです。
結果的には最後にこの事実は覆った疑惑になって終わるのですが、この『一時的に脈を止める』というトリックは昔から使われてきているものなので、様々な作品を読んだことがある方なら、何も疑わずに読み進めてしまうのではないでしょうか。
実際僕もその一人です。僕が知ったのは『出口ゼロ』という漫画ですが、『名探偵コナン』でも使われているようですね。
一番初めに、最終巻を読むと喪失感に襲われるが、この作品はそうはならなかったと書きましたが、その理由はこの作品の終わり方にあります。
僕が読んだことのあるシリーズもので、最終巻を迎えていない(まだ物語が続いている)ものが多いので、最終巻を読んだ経験が少なく、終わりの迎え方が偏っています。悲しい別れをしているものが大半なのです。
詳細は控えますが、この物語も別れで終わりますが、ただの別れではありません。正直無理矢理感があるのは否めませんが、とても山猫らしい幕引きを迎えています。
結末を迎えた後のこの世界がどんな風になっていくのか、想像が膨らみます。
最後にもう一つだけ余談。
『黒羊の挽歌』までは文庫本、『月下の三猿』からは単行本で購入したのですが、単行本四冊のカバー下がトランプの記号柄になっていると聞いて、残りの単行本も揃えてしまいました……。
元々気に入ったシリーズは単行本と文庫本両方購入してしまう人間なので、別にそれは大した問題ではないんですけどね。ただ場所をとるってだけで……。
さて、ノンストップで『怪盗探偵山猫』の感想を書いてきたわけですが、ここで一旦神永学先生作品以外の感想文をしばらく書いていきます。結構溜まっちゃってるしね。
次の神永学先生作品は何を書こうかな、『浮雲心霊奇譚』か『確率捜査官』か『天命探偵』か。
乞うご期待です。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。
また明日お会いしましょう。