怜士の本棚

不定期に読んだ本の記録や、感想を載せていきます。ファンタジーやミステリー系が多いです。たまに、日記のようなものを書きます。

『リバース』湊かなえ 読了

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※少々のネタバレを含みます※

 

最後の数行で、頬を平手打ちされたような感じがしました。物語が丸く収まりそうだったのに、最後の言葉で絶望のどん底に落としていくのかという、湊かなえ作品特有の描かれ方に僕は数年間囚われています。

 

僕が始めて湊かなえ作品を読んだのは、中一の時で『告白』を読んだのですが、それまで児童文学にしか手を出してなかったので、始めて大衆小説と呼べばいいのでしょうか、それを読んですごく衝撃的だったのを覚えています。

それは前述の通り、児童文学の基本的にハッピーエンドで終わるというものに慣れてしまっているので、こんな非道徳的(言葉が悪いですが)な物語が存在してしまって良いのかと思ってしまいました。

 

さて、本題の『リバース』ですが、実はこの感想を書いているのは2回目を読み終えたあとです。初めて読んだのは、丁度テレビドラマが終わった後でしょうか。僕は基本的にテレビを見ないのですが、湊かなえ作品であるということは知っていて、どうしても原作が小説だと、小説だけを読んでみたい質なのでテレビドラマは未だに未視聴です。

2回目、とだけあってさすがに初回ほどの衝撃は少ないのですが、じっくり地の文を落ち着いて読めるので、こういうミステリー系(?)ではヒントになりそうなものがたまに転がっていたりするので、それを探しながら読んでみたのですが、わかりませんでした…。

強いて言うなら途中で食事をするシーンでしょうか。確か初見の時は何を我儘を言っているのだろうかと思いましたが、最後の数行で見事に何かが崩れ去ってしまったような気がしました。

 

ところで題名になっている『リバース』とはどんな意味なのでしょうか。

解説でも何かは書かれていましたが、個人的な印象としては、表紙の色から影響されて『リバーシ』をイメージしてしまいました。

リバーシ』こと『オセロ』では、どんなに自分が優位に立っていたとしても、相手の采配次第や自分のうっかりミス等で、バラバラと一気に相手の色にひっくり返ってしまいます。

最後の言葉がその戦況をひっくり返す要の石のように思えて仕方が無いのです、そして碁盤の目は一気に相手の色となるのです。

 

内容も内容ですが、一番印象に残っているのはこの物語の一番のキーポイントとともいえる『コーヒー』が出てくるシーンです。

様々な種類の豆が出てきましたが、それぞれどんな味がするのだろうかとか呑気なことを考えながら読んでいました。

お金に余裕がなければ難しそうですが、いつか自分でもコーヒーを豆から挽いて、香りの良いコーヒーを自分でつくって飲んでみたいものです。

 

今年に入って読んだ湊かなえ作品は、『リバース』、『絶唱』、『豆の上で眠る』だけなので、ファンタジーの読みすぎで甘くなってしまった口の中を、コーヒーの苦味でリセットするように、間に挟んで別のお話も再読でもいいので読みたいです。

 

ここまでお読み頂きありがとうございました。また明日お会いしましょう。