怜士の本棚

不定期に読んだ本の記録や、感想を載せていきます。ファンタジーやミステリー系が多いです。たまに、日記のようなものを書きます。

『星をつなぐ手 ー桜風堂ものがたりー』村山早紀 読了

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前回の『桜風堂ものがたり』続編にあたる作品です。

前作とは違って、目に見えた不幸な出来事があるという訳ではなく、また前作よりも『本屋さん』としてのお話を主としたお話です。

 

このシリーズの大筋の流れとしては、『現代において消えゆく本屋』という所にあります。

この作品の中ではネットの普及により、ネット書店が主流となり、町の本屋さんは消えゆく運命にあるという問題が描かれています。

ですが、実際僕はTwitterでこのお話を聞くまで書店がこのような危機に晒されているとは全く知りませんでした。

というのも、この作品の中には、商店街にあるような個人の書店が出てきます。しかし、僕の生まれ育った町には個人の書店どころか、そもそも書店自体がなく、本を買い求めようとするなら隣町の大型チェーン店に行くしかなく、正直全く縁のないものでした。

それ故に、リアル書店が閉店しているという問題は、Twitterで、村山早紀さんをフォローさせて頂いているからこそ知ることのできた問題だったのです。

 

そしてこのお話の中でも、リアル書店がいいか、ネット書店がいいかというちょっとした議論のようなものが起こっています。

僕としても、前述の通りの環境で育っているため、正直便利さでいえばネット書店の方が圧倒的に使いやすいです。読みたいなと思う本さえ決まっていれば、家で注文をして、家から出ることなく受け取れるからです。

ただ、どっちが好きかと言われるとリアル書店の方が大好きです。

小中学生の頃はお小遣いも限られていて、読む本は殆ど図書館で借りたものでしたが、高校生になった頃には貰えるお小遣いが増えたり、バイトを始めたりしたので書店で買う機会が増えました。

その為、書店に足を運ぶ回数も増え、ただ目的の本を買って終わりではなく、その他に陳列された本を見て周り、「この本は面白そうだ」と思って手にすることが増えました。そうやって見つけた本は、宝探しで見つけたお宝のようで、図書館で借りた本よりもドキドキしながら読んだものです。

 

ただ、僕がそうやって訪れているのは大型のチェーン店だったので、物語の中に出てくるような個人経営の書店には行ったことがありません。

なので、個人経営のこじんまりとした書店とはどんな感じなのだろう、思いついたイメージの中で一番近いかな?と思ったのは近所にあった駄菓子屋さんでした。

その駄菓子屋さんには、子供の時よくお世話になっていました。友達と遊ぶ時に、百円玉を握りしめ、どうにかその範囲内で好きなお菓子をどう買おうか試行錯誤したものです。

ですが、その駄菓子屋さんも自分がよく行っていた4箇所のうち、もう残っているのは1箇所です。

閉店した理由はわかりません。それぞれ経営していたのはおばあさんだったので、年老いたからが理由なのか、売上が落ちたのか。けれども、昔馴染みだった所がなくなっていくと、凄く寂しい気持ちになるのです。同時に、もっと行っておけばよかったなと。

おそらく、作中に出てくる個人経営の書店が閉店したことを知った人々の心境に一番近いものだと個人的には思います。

ちょっとした蛇足ですが、僕はまだそんなに長く生きてはいない人間なのですが、当時(10年くらい前)からお菓子の値段が倍になっているような気がするのです。うまい棒は10円だったような気がするのですが、今買ったら20円でした。

 

最後になりましたが、先日もまた静岡県の書店が閉店するという悲しいニュースを目にしました。

僕の住んでいるところからは随分と遠い場所ですが、いつかここにも書店閉店の波が押し寄せてくるのでしょうか。

そうはなってほしくないものだと、願うばかりです。そして、この物語のように小さな奇跡でもいい、書店の未来を照らしてくれる光が現れるよう、今日も祈ります。

皮肉を言うと、願うだけではなく、本を買うべきなんですがね…。

 

本日も最後までお読み頂きありがとうございます。

明日の感想は、今までのジャンルからちょっと変わって、娯楽系、とでも言うのでしょうか、そういった感じの本の感想を書きたいと思っています。

また明日お会いしましょう。